○副議長(加藤武夫君) 次に、岡本康宏君にお許しいたします。

      〔岡本康宏君登壇〕
     〔副議長退席、議長着席〕

◆(岡本康宏君) お許しをいただきましたので、通告に従い質問をさせていただきます。
 近年、シックハウス症候群や化学物質過敏症等の環境中の化学物質が原因と考えられる疾患がふえ、アレルギー疾患もこの30年間で増加の一途をたどり、特にこの数年は子供のアレルギーが増加、原因物質を除去しても症状が改善されない症例がふえています。この症例は成人しても完治せず、私もその中の一人でして、アトピー性皮膚炎のため、皮膚がしみ、お風呂の中に入れない症状もあります。
 また、生活環境において使用されるさまざまな化学物質についての危険性も指摘されており、特に市街地における農薬・薬剤散布による健康被害が増加し、問題になっています。例えば、迎賓館の農薬散布により化学物質過敏症のお子さんの通学に支障を来したことは、以前新聞にも取り上げられ、皆様も御存じかと思いますが、ほかにも学校や通学路で行われた農薬や殺虫剤の散布により健康被害を受けたり、散布後しばらく学校に通えず、授業を受けたくても受けられなくなってしまったりする事例があるとも聞いています。重症の方では、自宅近くでの農薬散布により症状が悪化し、住む場所にも困るほどつらい思いをされている方も見えるそうです。
 化学物質過敏症は、その病態や発生のメカニズムの解明が完全ではなく、共通の定義も確定していないため、国も調査研究の推進を図っているとのことですが、現状では医療現場において暫定的に次のように定められています。化学物質過敏症とは、一度に大量の、あるいは微量でも長期にわたって化学物質を体に取り込むことにより発症し、発症すると目や気道、皮膚などの不快な症状のほか、頭痛、めまい、自律神経失調などさまざまな症状を呈する疾患とされています。潜在患者も多くいると考えられており、だれでも発症する可能性がある病気とのことです。
 また、ごく微量の化学物質が子供たちの免疫系、精神系、内分泌系等の発達に影響を与える可能性も指摘されています。科学的に因果関係がはっきりしているわけではありませんが、子供のアレルギーやがんの増加、また多動症や学習障害の増加、あるいは若年層での精子数の減少や子宮内膜症の増加など生殖器の異常には、環境的な要因の影響が大きいと考えられています。樹木消毒に使われる農薬や室内の衛生害虫駆除に用いられる殺虫剤にも、発がん性が疑われたり、人への健康影響が危惧されたり、他の生物の生育や生態系への影響が危惧されたりする物質が含まれているものがあります。
 ところで、この名古屋市においても公園や街路樹を初め、市有地や市の施設の敷地内の樹木や植物栽培等の管理に当たって農薬散布が行われているほか、市の施設で屋内衛生害虫駆除のため殺虫剤散布が定期的に行われています。今現在、屋内の薬剤散布の状況ですが、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、すなわち建築物衛生法を初め興行場法、労働安全衛生法、医療法、食品衛生法、学校保健法等、散布の根拠となる法律が多数あり、健康被害の増加を受け、それぞれ改正されたり通知が出されたりしていますが、管理者等への周知や指導が徹底されているでしょうか。
 建築物衛生法では、平成15年の改正により、特定建築物−−延べ床面積3,000平米以上、学校は同8,000平米以上−−におけるネズミ、昆虫等の防除に当たって、まず害虫等の生息調査等を実施し、調査結果に基づいた対策をとることとされていましたが、調査は行っても、害虫等の発生の有無にかかわらず、定期的に殺虫剤を散布している施設があります。例えば、この名古屋市におきましては、科学館、美術館、市庁舎、市民会館、国際会議場、公会堂といった施設です。いずれにしても調査をして、害虫の発生がごく一部であるか、発生の確認をしていないにもかかわらず、美術館以外はほぼ全館とも年2回定期的に殺虫剤散布を行っていました。現在は少しずつ改善はされていますが、施設全体を見ますと施設ごとばらばらの対応です。
 学校保健法でも、平成16年の学校環境衛生の基準の改正で、「児童生徒等の健康及び周辺環境に影響がない方法で駆除を行うようにする」と通知が出されていますが、見直しはされているのでしょうか。名古屋市立の全小学校の給食室、食品庫、配膳室等で学校給食衛生管理の基準に基づき、害虫等の発生の有無にかかわらず殺虫剤の一斉散布が行われています。夏休み中とはいえ、屋内での薬剤は長期にわたって残留します。
 ところで、薬剤散布をする場合には、健康被害を防止するための措置が必要です。法律によっては要領や施行細則で防除作業の日時、方法等を利用者に周知徹底させることとしていますが、これも十分に行われていません。
 屋内での薬剤散布の周知について、建築物衛生法で、防除作業を行うに当たっては、日時、作業方法等を建築物の利用者に周知徹底させることとされています。名古屋市庁舎では、職員に作業日等が連絡されていますが、不特定多数の利用者のある施設で利用者に向けて薬剤散布の情報の周知を行っているところは見たことがありませんし、これまでそのような指導が行われていなかったのではないでしょうか。興行場法では、愛知県興行場法施行細則で、害虫駆除及び消毒の方法と実施日を入場者の見やすい場所に表示することとしていますが、入場の際に確認できるようなわかりやすい場所に表示している施設がどれだけあるでしょうか。利用者等への薬剤散布の情報の周知徹底が十分に行われていないのが現状です。休館日に散布を行うとしても、散布翌日には朝から多くの人が訪れ、薬剤の残留暴露による健康被害や発達途上にある子供たちへの影響が懸念されるのは農薬と同様です。また、屋内での散布の場合、薬剤は長期にわたって残留するため、そこで働く職員の健康への影響も危惧されます。
 そこで、私はこの2月に議会事務局調査係を通じて、本市の施設における薬剤散布の状況を調査いたしました。その結果、本市におきましてさまざまなことがわかりました。建築物には、規模や用途により、また、特定建築物であるかそうではないかにより、一律指導では済まず、難しい面も確かにありますが、例えば、皆様も御存じの水族館では散布がされていない。科学館では散布がされている。各区役所にあります文化小劇場では、行われているところもあれば行われていないところもあります。どうしてこのような状況なのでしょうか。
 そこで、健康福祉局長にお尋ねいたします。ゴキブリや昆虫などの駆除に薬剤を使うには、そこに至った理由が必要であります。防除する前に昆虫などの生息を調査し、種類を専門家に特定してもらうことは実施されているのでしょうか。昆虫がいないのに薬剤を使用することは意味がなく、数多くの市の施設の利用者や職員への健康被害が心配されます。こうした点を見直し、不要な薬剤を使わないという方針を示せば、予算の削減にもつながるのではないでしょうか。本来の作業工程では、市の施設に対し事前調査、防除作業、効果の確認が当然必要であると私は考えますが、市の施設管理者に対し、そのような適正使用と利用者への周知について指導しているのか、お尋ねいたします。また、特定建築物に該当しない市の施設にはこの点が徹底されていないのではないかと思いますが、今後これらの施設に対してどのような対応をしていただけるのか、健康福祉局長にお尋ねいたします。
 次に、他の自治体で学校の樹木の農薬散布をやめるところがふえているようですが、学校の給食室などのゴキブリ対策での薬剤散布をやめているところはほとんどありません。しかし、世田谷区では施設内での薬剤散布も激減させました。1999年度までは、スミチオンなどの有機燐系の薬剤散布をしていましたが、保護者からの働きかけや環境問題に関心が深まってきて、何とかしなくてはと考えたということです。2000年度からはピレスロイド系の薬剤に変えたり、回数を減らしたりしましたが、やはり根本的に考えようと、学校保健法の衛生基準という原点に戻って検討したとのことです。
 学校環境衛生の基準には、ハエ、蚊、ゴキブリなど衛生害虫はまず生息調査をし、生息が認められた場合には児童生徒に影響のない方法で駆除しなさいとあります。世田谷区では、それまで生息調査はしていませんでしたので、まず生息調査から始めようということで、2000年度に全部の学校で生息調査をし、結果としては特に問題はなく、大量発生しているところもありませんでしたので、薬剤散布はやめ、少し生息しているところにはゴキブリの出そうなすき間にベイト剤を注入する方法で対処しました。その後の2003年も薬剤散布はしていないとのことでした。その結果、それまで約2000万円もかかっていた費用が200万円と、10分の1に減少したということです。
 そこで、小学校の給食室の薬剤散布について教育長にお尋ねいたします。この名古屋市においても、学校環境衛生の基準に基づいて、生息調査をしてから薬剤散布をしているのでしょうか。また、世田谷区のように、私は防除の基本はまず昆虫などの生息を調査し、種類を特定して、それが繁殖しないように、えさになるものを片づけ、清掃し、生息しにくい構造に設備を改善し、薬剤の使用は最小限にとどめることが重要であると考えますが、お考えをお聞かせください。
 これで、私の第1回目の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

◎健康福祉局長(松永恒裕君) 市施設におきます薬剤散布に関しまして、基本的な考え方をお尋ねいただきました。
 建築物におきます害虫駆除におきましては、一律に薬剤散布を行うのではなく、害虫の生息状況や利用者への配慮などを検討した上で、適切な方法により実施することが大切であるというように考えております。
 現在、保健所におきましては、建築物衛生法によりまして、多数の人が利用されます延べ床面積3,000平方メートル以上の建築物であります特定建築物の管理者に対しまして、立入指導や研修会などで殺虫剤の適正使用と利用者への周知について指導いたしております。今後より一層その指導の強化に努めてまいりたいというように考えております。
 また、特定建築物には該当しませんが、多数の人が利用される市の施設に対しましては、害虫駆除に当たっては殺虫剤の使用を前提としたものではなく、発生の有無を把握した上で、適切な方法により実施されるよう、文書や市のホームページで周知を図ってまいりたいというように考えておりますので、よろしくお願いいたします。

◎教育長(岡田大君) 教育現場におきます薬剤使用についてお尋ねいただきました。
 現在、小学校では学校給食衛生管理の基準に基づきまして、給食調理場の衛生状態を良好に保つため、1カ月ごとにゴキブリ、ハエなどの衛生害虫の発生状況の巡回点検を行い、発生があった場合はその都度駆除しておりますが、そのほかに夏季休業期間中及び学年末休業中の年2回、定期的に害虫駆除を実施しており、このうち夏季休業中につきましては薬剤の散布の方法などで行っているところでございます。
 議員御指摘の薬剤散布につきましては、薬剤散布の方法にかえ固形薬剤を置くなどの方法につきまして、保健所とも相談しながら、二、三校で試行してまいりたいと考えております。この試行による駆除の効果や衛生管理上の問題などを検証し、薬剤の適正な使用について検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りたいと存じます。

◆(岡本康宏君) 御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 健康福祉局長の御答弁の中で、文書やホームページにて周知を行っていただけるとのことですので、早急に対応していただくことをお願いいたします。
 また、教育長の御答弁の中で、保健所とも相談し、試行してくださるとの前進した御回答をいただきましたことに、ありがとうございます。それに伴い、愛知県教育委員会では今月末より各学校に「学校における室内空気中化学物質対策マニュアル」を県独自で作成し、配布すると聞いています。名古屋市教育委員会としてもぜひともその資料を参考にしていただき、今後前向きな対応をしていただくようお願いをさせていただきます。
 今回は室内に絞って質問させていただきましたが、屋外につきましても今後積極的な見直しをしていただきたいと思いますし、また、このような各局にまたがる問題でもありますので、私は市長のリーダーシップを期待したいと思っておりますが、先日、市長の提案説明の中で、環境への負担の少ない維持可能な都市システムや生活文化を創造し、日本のトップランナーとして世界にアピールできるまちづくりを進めたいと述べられましたが、この市の施設の薬剤散布について、今後どのように市長が考えておられるかお尋ねいたします。

◎市長(松原武久君) 市の施設は多くの市民に利用されておるわけでございまして、施設の管理におきましては利用者に快適な環境で過ごしていただけるよう、細心の注意を払う必要があろうというふうに思っています。一方で、機械的に年2回と決められたから、その決められたとおりやっておるということでなくて、要は必要なところに必要な量だけ使用するといったことを今後大事にしてまいりたいというふうに思っています。どんな薬剤でもきっといろいろ副作用があろうというふうに思います。そういった点につきまして、細心の注意を払ってやってまいりたいというふうに思います。
 以上でございます。

◆(岡本康宏君) 市長、御答弁ありがとうございました。ぜひとも環境に配慮した施設の管理に努めていただきたいと思いますし、また、二度と薬剤散布のことについて質問がないように対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これで、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

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